【保存版】日本酒資格まとめ|唎酒師・SAKE DIPLOMA・WSET SAKE・清酒専門評価者など目的別に「どの資格を選ぶべきか」日本酒専門講師が経験を元に整理しました

日本酒資格について


日本酒資格は「どれを選ぶか」がとても重要です。

近年、日本酒に関する資格はどんどん増えています。
「せっかく学ぶならちゃんと資格を取りたい」「でも、どれを選ぶのが正解なのかわからない」
こう感じている方は本当に多いです。

この記事では、日本酒講師として唯一、業界最難関といわれる「清酒専門評価者」の認定を持ち、年間数百名の受験対策をしている立場から、単なる制度説明ではなく、“実際に役立つ資格の選び方” を、できるだけわかりやすく整理していきます😉

日本酒資格の全体像 ― まずは“地図”を理解する

まず最初に押さえておきたいのは、
日本酒資格には「役割ごとのカテゴリ」がある ということです。

ざっくり分けると、次の3つになります。

❶ 楽しむための資格(入門・初級)
❷ 体系的に学ぶ資格(中級)
❸ ステップアップ資格(上級)
❹ 専門性を突き詰める資格(特級)

注意していただきたいのは、「難しい資格=すごい」「有名な資格=正解」
または逆に「簡単な資格=意味がない」と単純化してしまうことです。

資格は “自分が進みたい方向” と結びついていないと、ただの自己満足 になってしまいます。
だからこそ、まずは全体像を把握し、自分が求めているものと合致するか確認することが大切です。

下記は私の独断による資格ポジションです。

主催団体入門中級上級特級
SSI日本酒ナビゲーター唎酒師酒匠
和酒マスターテイスター
日本酒学講師
グランド和酒マスターテイスター
JSA
(日本ソムリエ協会)
SAKE検定SAKE DIPLOMASAKE DIPLOMAエクセレンス
(新設予定)
WSETSAKE LEVEL1SAKE LEVEL2SAKE LEVEL3
日本醸造協会きき酒マイスター
酒類総合研究所清酒専門評価者
(業界最難関)

入門資格 ― まず最初の一歩として検討すべき資格

日本酒入門資格については別に比較記事を用意しましたので、ここでは簡単な説明にとどめます。
より詳しく知りたい方はそちらを確認していただければと思います。


◆日本酒ナビゲーター(SSI)

最も気軽に取得できる入門資格 です。
試験もなく受講だけで認定されるタイプの資格なので、心理的なハードルが低く良い入口になります。

基本的なラベルの読み方や、日本酒の基本的な4つのタイプ分類などを学ぶことが出来ます。
「まず日本酒の世界に楽しく触れてみたい」という方には非常に良い入口になります。

◆SAKE検定(J.S.A.)

入門資格の中では、「ちゃんと知識を身につけたい人向け」 の設計になっている資格です。
焼酎・泡盛と比較しながら学ぶパートもあり、それによってより深い理解が出来るように構成されています。
将来的にその上のSAKE DIPLOMA を意識しているというような方にも非常に相性が良い資格です。

SAKE検定公式ページのリンクはこちら
SAKE検定からSAKE DIPLOMAにステップアップした方の体験記はこちら

◆WSET SAKE Level 1

こちらはイギリスの酒類教育機関の資格です。国際的に統一された教育カリキュラムですので、海外の方にも学習段階が伝わります。

「海外との接点がある」「英語や国際スタンダードの視点も持ちたい」という方にはぴったりの入門資格かと思います。

中・上級資格 ― 体系化・専門性・現場価値を意識する資格

この辺りの資格の情報を必要とする方が最も多いのではないかと思いますので、ここを比較しながらやや厚めに説明していきますね。

唎酒師(SSI)

日本酒ナビゲーターの上位にあたり、一般に最も知名度のある日本酒資格です。
試験的には難易度は高くありませんが、日本酒関連の文化やおもてなし、季節プロモーションなど、現場で活きるノウハウに重きが置かれていることに特徴があります。
テイスティング試験においても、細かい分析や何かを当てるというよりは、お酒のキャラクターを大まかに分析した上でキャラクターを活かした提供方法を提案するということを重視します。
国際唎酒師という英語や中国語等の外国語版もあります。

◆酒匠(SSI)
唎酒師の上位にあたる資格で、私個人の感覚としてはテイスティングだけで見れば中上級クラスの民間資格で最も難しいと思います。
使用されている酵母や火入れ回数などの判別の他、香味の位置づけを図示する「ポジショニングマップ」や香りと味わいをグラフで表す「同軸グラフ」など、唎酒師では行わないテクニックを活用していきます。
また、焼酎・泡盛も対象になっていいて、芋焼酎の芋品種系統の判別や麹菌種、麹原料の判別なども行います。
よりテイスティングに特化した「和酒マスターテイスター」という資格もあります。

◆日本酒学講師(SSI)

この資格を取得すると「日本酒ナビゲーター認定講座」を開催することが出来るようになります。
この資格は私が持っていないので、難易度等は実体験としては分かりませんが、講座カリキュラムの構築方法や模擬講座などを行うことで講師力を養成していきます。

◆SAKE DIPLOMA(J.S.A.)

日本ソムリエ協会が新設したことで大きな話題となり、業界内でもかなり評価が高くなっている資格です。
一次試験ではかなり細かい知識も問われ、二次試験では論述試験とテイスティング試験があります。
総合的にみると中上級クラスでは最も難しいのではないかと思います。
合格率も40%前後と低めですが、それだけに合格すると蔵元さんや酒販店さん等からも信頼を得ることが出来ます。
本格的に日本酒を語れる力を証明したい方にとって、現時点での中心資格 といえます。
SAKE DIPLOMA INTERNATIONALという英語版の試験もあります。

SAKE DIPLOMA受験体験記まとめ記事はこちら

◆WSET SAKE Level 2 & Level3

Level1と3が先に完成していたため、何故2がないの?と言われていましたが、Level2が待望のリリースになりました。
講義が質問などで双方向的に進められるのも日本の資格講座とは違った印象です。
Level2は試験は択一式50問ですので、そこまでハードルは高くありません。

Level3になると択一式の他、論述式もかなり重要になります。また、現在のところLevel3は日本語版がなく、英語のみで提供されているため、その点も大きなハードルになる方は多いと思います。
論述にはコツが必要なので、論述だけを見れば中上級クラスで最も難しいです。
またテイスティング試験もあり、テイスティングコメントや判別の他、提供されたお酒のクオリティについての評価とその理由の記述がある点が特徴的かと思います。

◆唎酒マイスター(日本醸造協会)
酒蔵などに勤めているプロフェッショナル向けの資格で、かつ定員も限られているため場合によっては申し込みをしても受験が出来ないことがあります。
日本酒度や甘味酸味の差の識別など、かなり客観的なテイスティング試験という印象です。
試験時間には余裕があるので、じっくり正解を導き出すのが良いと思います。
プロでも大半が落ちますので、中上級クラスとしてはかなり難易度が高いと言えます。

難易度と知名度の比較

資格名座学難易度テイスティング難易度知名度
唎酒師
日本酒文化等も幅広く
★ 
4タイプ分類中心
★★★
一般にも知名度が高い
酒匠
唎酒師よりむしろ易しいか
★★★
焼酎含め判別項目が多い
★★
業界内は一定の知名度
SAKE DIPLOMA★★★
細かな専門知識も網羅
★★★ 
高難易度判別や焼酎もあり
★★
業界内の知名度は高い
WSET Level2
基礎的な択一試験のみ
× 
テイスティング試験なし

やや国内知名度が低い
WSET Level3★★★
論述が重要 ※英語
★★
独自の品質評価手法が特徴

やや国内知名度が低い
唎酒マイスター座学はやりますが、試験がありません★★★
やや繊細な味覚嗅覚が必要

業界内でも知名度低め

難易度と知名度は比例せず、むしろ反比例に近いかもしれませんね。
私は複数資格を持っていますので、例えば一般向けの仕事であれば比較的一般知名度の高い「唎酒師」を名乗る、業界人や資格者向けのお仕事であれば「SAKE DIPLOMA」、海外向けのお仕事であれば国際的に通じる「WSET」を強調するなどの使い分けをしています。

講座・試験日程と取得費用の比較

資格対策講座本試験取得費用
SSI 唎酒師毎月開催
一日完結
毎月開催
オンライン可
受験受講料、認定料、入会金、初年度年会費 
合計119,900円
SSI 酒匠11月頃
二日間講習
毎月開催
(講習から半年以内に受験)
受験受講料:114,400円
登録料:25,300円
J.S.A. SAKE DIPLOMA3~4月頃スタート
一次 4~5か月
二次 2か月前後
※JSA主催講座はなし
年に一度
(全国の指定会場)
一次試験 7月~8月
二次試験 10月頃
会員受験料:28,600円
一般受験料:37,800円
※CBT2回受験価格
認定登録料:20,950円
WSET SAKE LEVEL2
英語/日本語
3日間集中講座もしくは3か月講座年に数回 
一日で択一のみ
受講・受験料
合計約10万円
WSET SAKE LEVEL3
※2025年現在英語のみ
4日間集中講座もしくは5か月講座年に数回
一日で択一・記述・テイスティング
受講・受験料
合計約10万円
唎酒マイスターなし年に1~2回
2日間
54,000円

利酒師はほぼ毎月講座と試験が開催されるため、ご自身の都合に合わせて資格取得しやすいです。
年会費が約15,000円かかりますが、その分会員向けの講座なども受講できますので、活用することをお勧めします。
また、酒匠まで進んでも年会費は変わりませんので、プロの方はせっかくなら是非酒匠まで進んでいただきたいと思います。(酒匠まで進む人は1%しかいないので、希少価値があります)

SAKE DIPLOMAはソムリエ協会の入会(年会費15,000円)は任意ですが、こちらも会員無料のセミナーや機関誌の情報が充実していますので私は入会していますし、入会をお勧めします。
試験は年に一度なので、受験する場合はここに合わせてスケジューリングしていく必要があります。
非常にプレッシャーがかかるチャレンジになりますが、その分達成感がありますね。

WSETはイギリス本部から認められた認定校がカリキュラムを組んでいきます。数か月でしっかり学んでいくコースもあれば、数日で仕上げる短期集中コースもあります。
こちらは年会費等はありませんが、その分ブラッシュアップセミナー等も特にないです。

唎酒マイスターは日本醸造協会が主催するだけあって、試験の価格としては比較的安価かと思います。
二日間座学とテイスティング試験を繰り返しますが、1項目でも落とすと認定されませんので、プレッシャーがかかりますね。
こちらも年会費等はありませんが、その分ブラッシュアップセミナー等も特にないです。

特級資格 ー プロ向けの最終目標

特級資格というのは私が勝手につくったポジションです。
民間資格と公的資格それぞれで最高位は下記の資格になるかと思います。

◆グランド和酒マスターテイスター(SSI)
民間の日本酒資格としては現状最高位かと思います。
ただ、知名度が非常に低いです。
唎酒師資格者は世界に6万人ほどいますが、そのうち百数十名しかここにたどりつく人がいません。
少なすぎて公式ホームページにもほぼ記載がありません…

どちらかというと提供者目線の資格ですが、サービスやプロモーションよりはテイスティング能力が非常に重要になります。
酒匠や和酒マスターテイスターが行う「ポジショニングマップ」や「同軸グラフ」を更に幅広いパターンについて行い、日本酒・焼酎についてのフルコメントなども求められます。

◆清酒専門評価者(酒類総合研究所)
国(国税庁)の出先機関である酒類総合研究所が認定する業界人向け資格で、一般に日本酒業界最難関資格といえばこの資格です。
どちらかというと造り手目線の資格なので、オフフレーバー(欠点のにおい)とその原因などは比較的重要度が高いです。
受験資格も厳しく、受験を認められるだけでもかなりハードルが高いです。
公式ページによれば清酒専門評価者の説明は下記の通りです。

清酒専門評価者とは感覚の感受性が高く、清酒の香りや味の多様な特徴を評価するのに一貫して反復可能な能力を有している評価者で、清酒の官能評価分析の経験があるとともに、清酒の製造方法や貯蔵・熟成に関する知識を有している専門家です。

※官能評価という言葉に馴染みのない方も多いかと思いますが、これは例えば味覚や嗅覚などの人の感覚を活用して品質等を評価することを指しています。

甘味や酸味を強い順に並べ替えたり、日本酒に含まれる香り成分を特定して発生原因を記述したりと様々な試験を4日間行い、一つでも落とすと認定されません。(ほとんど全員近く落ちます。)

また、4日間の試験をクリアすると、次は論文レポートの提出が求められ、これが通ると清酒専門評価者として認定され、ホームページに名前と所属が掲載されます。

最難関と言われるだけに、認定されれば酒蔵等の業界の方からは一目置かれることになります。

ナミサト
ナミサト

民間最上位の「グランド和酒マスターテイスター」と
業界最難関の「清酒専門評価者」の二冠を持つのは
私が霊長類で唯一です😉✨

資格は「難易度」ではなく「目的」で選ぶべき

資格は “勝ち負け” や “格付け” の話ではありません。
よく「〇〇と〇〇の資格はどっちがすごいの?」というご質問を頂きます。
試験の難易度の差は一応あるのですが、資格は能力を磨くための指標であって、取得後にどれだけ研鑽を重ねたかの方がずっとずっと重要です。

また、各資格で学ぶ内容もそれぞれ違うので、

✔ 何のために学びたいのか
✔ 将来どうなりたいのか
✔ どこまで深く関わりたいのか

これらによって、選ぶべき資格は変わってきます。
そして正しく選べば資格はキャリアを切り開く武器になります。

ただ、武器は飾っていても勝手に切り開いてはくれません。
どのように活用するかを考え、自分なりの使いこなし方を会得する必要があると思います。

過去に私の講座で資格を取得した方の活躍も参考になるかと思いますので、近いうちに記事にまとめたいと思います。

結論 ― こういう人にはこの資格

【とにかく楽しく始めたい】
→ 日本酒ナビゲーター

試験がないため気軽です。
簡単な試験があっても良いならSAKE検定もオススメ!

【入門だけどちゃんと勉強したい】
→ SAKE検定

入門でもしっかり内容は充実しています。
少し高くてもいいならWSET LEVEL1も良いと思います。

【国際視点も持ちたい】
→ WSET SAKE

WSET WINEと共通した感覚でテイスティングできます。
プロレベルならLevel3が良いです。
SAKE DIPLOMAも国際的な視点は意識されています。

【季節プロモーションや提供を重視したい】
→唎酒師

これらを最も重視するのは唎酒師かと思います。
SAKE DIPLOMAやWSETでも料理との相性や飲用温度等は学習します。

【プロや日本酒を真剣に語る愛好家になりたい】
→ SAKE DIPLOMA

醸造を中心とした専門知識やテイスティング能力が求められます。
季節提案や日本文化までと勉強範囲が若干広い唎酒師を合わせて取得しても良いですね。

【テイスティングにフォーカスしたい】
→酒匠

焼酎も含めたテイスティングのスペシャリストに!
業界人なら唎酒マイスターにチャレンジしても良いと思います。

この記事の信頼性について

冒頭にも書いた通り、私は年間数百名の試験対策をしている専業の日本酒講師であり、私自身も最難関資格を含む多くの日本酒資格を取得してきました。
ここに書いた内容は、私の実体験から得た感覚が軸になっていますので、信頼性はバッチリではなでしょうか。

私自身も資格に導かれてきたと感じていますし、取得を後悔した資格は一つもありません。
受講生の中にも本当に人生が変わるレベルで資格が活きた方を沢山見てきました。

「資格勉強なんかしても何も変わらないよ」という意見を持っている方もいるので、そうした意見を聞いて二の足を踏んでしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、それは資格取得後の活用次第です。
少しでも興味があるのであれば、私を信じてまずは一歩踏み出していただければと思います。

まとめ

日本酒資格は“優劣”ではなく“役割”
重要なのは 「自分の未来と結びつけて選ぶ」こと

正しい資格選びはあなたの人生を良い方向に導いてくれると信じています。
あなたにとって最適な目標が見つかることを願っています。

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